約半年間に渡ってお送りしてまいりました、「国際人のための江戸・東京文化講座」。今回の第8回講座を持ちまして、一先ず終了となりました。最終回の第8回は安藤 優一郎氏のお送りする「ビジュアルな絵図で江戸・東京の変貌を訪ねる」。簡単ではありますが、要旨の方、お楽しみください。
● 文字を続けて書く「草書体」のために、活字印刷は普及せず、製版印刷が普及した。
● 売れ筋は好色本や重宝記類(日常生活に必要な知識を集めた簡単な百科事典)
● ニュース性のあるもの、徳川家の将軍に関する話題を扱ったものはタブーとされた。
● 書物問屋(文化・経済の発達していた上方の本を扱う、医学書、仏書など専門書や教養書など。)
● 地本問屋(江戸の本を扱う、浮世絵など大衆的なものを扱う。)
● 江戸時代は本は高価なもので、貸本屋が繁盛した。
● 切り絵図とは江戸全体を俯瞰した地図。(大絵図はもって歩けなかったため)
● 江戸の町の範囲とは、切り絵図でカバーしている範囲。
● 近江屋五平近吾堂。
● 切り絵図は地方から来た観光客のお土産だった。
第6回に引き続き、今回も講座の雰囲気を伝える動画を用意しましたのでご覧ください。
なお、視聴していただくにはWindows Media Playerが必要です。
こちらからダウンロードできます。
● 御三卿の田安家、清水家、一ツ橋家、徳川御三家などは、地図には~殿 と書いてある
● 地図を見ると大名屋敷の所有者が松平~と名前がつくものが多いが、これは外様大名が反乱しないよう、親近感を持たせるために与えた名前だといわれている。
● 浮世絵に三井の絵があるなど、店のPRの意図もあったといわれる。
● 特に浮世絵の出版の許可を扱う絵草紙取調掛名主をつとめた和田源七が販売していた「仙女香」は浮世絵によく描かれているが、「この商品名を書いておけば大丈夫」のような暗黙の了解があったのでは、と言われている。
● 浮世絵の価格は大体16文、今で言うそば一杯程度と言われている。
● 鯰絵と呼ばれるものは許可なしで出版され、当時の社会を風刺していた。
● 今の芝神明あたりは地方からの観光客の帰り道にあたり、おみやげ物の店が連なっていた。広重の名所図絵は、地方から来た観光客対象のお土産品として企画されたのではないかという説がある。
● 地方の旧家に、保存状態がよく多数残されている場合が多い。
● 浮世絵は外国人観光客の江戸土産としても人気があった。
● お寺の境内に設置された外国の公使館を描いた浮世絵が残っている。
● ペリーやハリスを、想像して書いた浮世絵も多数残っている。浮世絵は、全て事実を表しているというわけでもなかった。
● 江戸の名所を訪れた外国人を描いた浮世絵が残っているが、これは港区の愛宕神社から、江戸の町を眺めている図であった。ここから見ると当時江戸の町の三分の一は見ることができたといわれ、写真を撮るスポットになっており、写真も残っている。
● 藤岡屋由蔵という人が書いた「藤岡屋日記」は、官庁からの情報も書いてあるなど今では貴重な資料となっているが、これは今では出版されている。
(報告:事務局 宍戸 俊信)
宍戸さん、ありがとうございました。地図一つ、浮世絵一つとっても、これほど様々な逸話が隠されている。改めて、江戸・東京の文化の奥深さを覗いた気がします。
そんな奥深い江戸・東京の文化。とても、その魅力の全てを8回程度の講座で語ることは不可能です。2008年前期の講座は一先ずこれで終了となりますが、もっと広く、もっと深く、様々なテーマを揃えてまた後期に開催したいと思っています。またのご参加、お待ちしております。
応援いただき、どうもありがとうございました!
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