<行動力のある、ユーモア溢れるベンチャー企業家ならぬ冒険家>
野々山桂氏は常に先を見て、新しい事業や可能性に挑戦するベンチャー企業家です。
株式会社HISがまだ10人にも満たない会社だった頃からのメンバーであった野々山氏はその後、独立してHISの特約代理店6店舗を持つ株式会社夢屋や添乗員・通訳案内士の派遣を行う株式会社オデッセイ、旅の専門書店「のまど」など経営する夢屋グループを創設し、自分の人生をより魅力的に、挑戦に満ち溢れたものに変えました。
そして今では誰もが知る旅行会社になったHISを退社してから15年、HISの子会社、株式会社HISエクスペリエンス・ジャパンが設立され、その代表取締役として野々山氏が就任いたしました。
<「まちづくり」への取り組み>
野々山氏は事業のほかにも観光まちづくりでも様々な取り組みを進めています。
最初の事業を始めた吉祥寺をこよなく愛し、「吉祥寺まち案内所」を運営し、ボランティアスタッフ「吉祥寺コンシェルジュ」97名を率いる、NPOまちづくり観光機構のオーナーの役割である理事長もされています。
また、経営産業省サービス産業生産性向上支援調査事業審査委員、「江戸城再建を目指す会」監事など、幅広い分野で活躍していらっしゃいます。
このように、観光事業の豊富な知識と経験、新しいものに挑戦する好奇心、そして日本を愛する心があるからこそHISエクスペリエンス・ジャパンの代表取締役に就任できたのではないでしょうか。
<忍者、コスプレ、寿司、侍?>
「忍者入門」「秋葉原オタク体験」「へぃ、らっしゃい!」「サムライ道場」。
HISエクスペリエンス・ジャパンは様々な「経験」という商品を扱う、HISがインバンド事業に進出するにあたって設立された会社です。
その事業の主力は、日本ならではの「本物に近い」ではなく、「本物」の体験をガイド付きで提供することです。
野々山氏は自分の足で東京を回り、本物の忍術道場や、寿司教室ではない本物の職人のいる寿司屋、実際に俳優が通うサムライ道場、本物の相撲部屋、など、観光客のために作られた場所ではないような地元のお店を探しては契約を結んでいます。このような場所に「本物」の日本の伝統や歴史があり、日本へ観光に訪れる方々はこのようなツアーを経験したいのです。
そして各ツアーを2~4人や2~15人といった少人数のツアーにし、通訳案内士をつけることにより、他よりも質の高い、ディープな経験を届けることができるようになりました。
<こだわりと信念>
野々山氏はより本物に近い経験を求め、各地へ自ら足を運び、様々な職人さんと交渉をして契約を交わすのですがやはり問題も多いということです。
なぜなら、先ほど触れたように、野々山氏が選ぶツアーの場所は元々観光者用に作られた場所ではないからです。
この結果、言語の壁や文化の違い、職人側は外国人に対しての接客は初めて、そしてやはり少人数からのツアーなのにも関わらず通訳案内士をつけるので値段が張る、他の観光会社が企画・運営するツアーのように慎重な危険管理・保険プランが組めない、などの問題が出てきます。
野々山氏がなぜこのようにデメリットが多いのにまだ続けるのかというと、野々山氏は真剣切りのツアーの話を答え代わりに、「あまりにも危険がありすぎる。やめた方がいい。そう言われるとやりたくなるんですよ」と笑いながらおっしゃっていました。
取材・文章:村山、加瀬、寺本、ジョン
写真:日本文化体験交流塾