現在の日本は少子高齢化で、2050年には日本人口が9000万人になるといわれています。
そのため日本人の国内消費は減っていく一方です。そこで、今後の日本経済を活性させていくにはどうすればよいのか?という問題が浮上してきます。その解決策として、海外からの旅行者を増やし、交流人口が増加することが、日本経済の活性化につながるという発想出てきました。
それを最初に行ったのが小泉首相で、『観光』に力を入れていこうとビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が始まりました。2010年を目標に訪日外国人を1000万人にしようということで、現在もキャンペーンは続いていますが、順調に数字は伸びてきています。
VJCでは重点市場としてもともと訪日旅行者が多かった国や地域に絞り、重点的に広報活動に力を入れています。
主にアジアからの旅行者が7割を占め、韓国、台湾、香港、中国と続きます。一番多い韓国人には特に「ゴルフ」が人気で、日本の方が安くゴルフができるということで、2泊3日のゴルフツアーを目的にして訪日している方が多くなってきています。
また、欧米人は日本の文化や歴史に興味がありますが、アジア人は日本の最先端や自然に興味があるというような傾向が見られます。特にアジア人はショッピングが好きで、日本で買い物をするといことが一つのステータスになっているようです。やはり「日本の製品はいいもの」というイメージから、例え日本のブランドでなくても日本で買ったものなら安心できるということです。
最近では百貨店が外国人誘致に取り組んでおり、日本人の売上が減っている中、外国人旅行者の売上が好調になっています。
また、地域での取り組みも広がってきており、徐々に地域間の連携も取れてきています。
お互いに協力しあうことで相乗効果が生まれ、よりよい地域の魅力の発信につながっています。そして、何よりもそこに住む地元の人たちが、その土地を愛し、自慢することで、訪れる旅行者にとっても素晴らしいところであると思ってもらえるようになるのです。
このように、各業界や地域でのインバウンド観光が進む中で、外国人旅行者が過ごしやすいように、受け入れ体制の整備も進んできています。
例えば、セブン銀行は外国人旅行者にとって非常に便利です。クレジットカードでも現金を下ろせるようにし、現金を持たない外国人旅行者にとってはとてもいいサービスです。JRでは「JRレールパス」という外国人旅行者向けのフリー乗車券を発行しています。このように外国人にやさしい国づくりを進めています。
最近では教育機関でも「観光」に対する取り組みが強まっており、大学では観光学部が増えてきています。現在では37大学で約3900人の学生が学んでいます。
インバウンド観光が進むにあたって、地域同士の連携や受け皿体制の整備等が必要となります。少しずつ良くなってきていますが、課題はまだあります。例えば、外国人の受け入れにあたり通訳ガイドを増やしていますが、現在需要と供給のバランスが取れていないというのが現状です。特定の地域や語学に偏っていることもありますし、また、仕事としての地位がきちんと確立されていないということもあります。
まだまだ課題は山積みですが、日本経済活性化の糸口として観光への取り組みをより強化していければと思います。そして、国土交通省もできるだけ多くの方の意見に耳を傾け、「観光立国日本」を築き上げていきたいと思います。
取材・文章:村山、加瀬、寺本、ジョン
写真:日本文化体験交流塾、やまとごころ.jp