特定非営利活動法人日本文化体験交流塾設立趣旨書
(現状と背景)
平成19年度の観光白書によると、観光産業は、日本全体で55.3兆円の生産波及効果、469万人の雇用誘発効果があるとされ、経済の活性化や雇用機会の拡充に資する大切な活動であります。しかし、東京を訪れる外国人観光客の数は、2006年は約428万人で、ロンドンの1,430万人、パリの901万人、ニューヨークの680万人はもとより、香港、シンガポール、ソウルなどアジアの諸都市よりも少ない数にとどまっています。
(問題点)
その理由として、江戸以来の伝統に根ざした音楽、芸能、美術、工芸、武道等の文化は、外国人にとって興味深いにもかかわらず、実際に体験する場が少ないことがその一因です。また、日本の食、着物、入浴などの生活や特徴ある街なみも、言葉の障害があり、文化の本質まで理解することは困難であります。また、多くの日本人自身も、江戸以来の歴史や文化を十分に理解しているとは言えません。
(これまでの私たちの取組み)
私たちは、2007年10月は、外国人のための粋なまち神楽坂探訪として、茶会や投扇興などの伝統文化の体験事業を実施しました。また、2008年1月からは、「国際人のための江戸・東京文化講座」を開設し、通訳案内士や江戸文化に興味のある方を対象とした講座を実施しています。
(これから目指すもの)
こうした活動を踏まえ、今後さらに、音楽、芸能、美術、工芸、武道等様々な分野で、日本人及び外国人、児童から高齢者までの諸世代、女性及び男性等多様な人々の相互交流により、文化の継承・発展・創造を目指します。また、江戸以来の祖先などの先人に感謝する心、相手を思いやる心を国の内外に伝えることにより、日本経済の活性化、国際平和にも貢献していきます。さらに、省エネルギーで循環型社会であったという江戸の暮らし方を現代に伝えることで、地球温暖化などの環境問題にも寄与できる質の高い活動を目指します。
(法人設立の理由)
こうした活動をさらに進めていくためには、都の内外の各地域における観光まちづくりを支援するとともに、その相互の連携を強化する必要があります。そのためにも、まち歩きや文化体験等に関する調査・研究、研修、情報発信等の事業を行うことが必要です。こうした活動を実現するためには、多くの人の協働が必要であり、活動目的の明確化、協力者の増加、オープンな会計等の組織整備が不可欠であり、このため特定非営利活動法人を設立するものであります。
2008年3月17日
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